飛鳥寺の飛鳥大仏。
丈六とは一丈六尺の仏像のことを意味します。
一丈六尺(いちじょうろくしゃく)!?
昔の長さを測る単位ですから、いまいちピンときませんよね。
一寸法師が3cmほどの小さい人だったことを思い出してみて下さい。
一寸の10倍が一尺(約30cm)で、一尺のさらに10倍の長さが一丈(約3m)となります。
つまり、丈六を現在の長さの単位に換算すれば、4m80cmほどになります。
釈尊の身長は一丈六尺あったと云われています。
巨人だったんですね(笑)
お釈迦様の身長が4m80cmもあったとは!
ちょっとした驚きです。
そのため、仏像は丈六の大きさに造られることが多いそうです。
多くの仏像は座っておられます。
座高は8尺~9尺が標準サイズとなっています。
結跏趺坐であぐらをかいていても、その座高は2m40cm~2m70cmもあることになりますね。
飛鳥大仏の高さは2.75mだそうです。
確かに丈六の仏様ということになりますね。

橿原神宮前駅の東口を出ると、丈六という地名が残されています。
飛鳥寺は聖徳太子御遺跡霊場の第11番札所であり、その納経題字は「止利仏師丈六釈迦」になっています。
飛鳥大仏は止利仏師の作によるものですからね。
丈六の釈迦如来座像(飛鳥大仏)を指すものと思われます。
そうすると、この丈六という地名も飛鳥寺の飛鳥大仏に由来するのでしょうか?
橿原神宮前駅から丈六の交差点を渡って、東へ東へ進んで行くと、飛鳥神奈備の雷丘や甘樫丘方面に出ます。
そこから飛鳥寺は目と鼻の先です。
飛鳥寺の丈六仏との関連性が伺えますよね。
橿原神宮前駅東口付近の丈六の土地は、古代の厩坂のあった所と伝えられています。
「推古紀」によると、
始めて銅(あかがね)・繍(ぬひもの)の丈六の仏像(ほとけのみかた)、各(おのおの)一躯(ひとはしら)を造る
と書かれています。
厩坂寺にも丈六仏のご本尊が安置されていたのでしょうか。
今となっては歴史の謎に包まれたままですが、丈六という地名は興味をそそりますね。

飛鳥寺境内の万葉池。
丈六とは長さの単位であると共に、仏像のことを表す言葉でもありました。
さらに仏像のポーズから波及して、胡坐をかく意味の「丈六居(じょうろくい)」という言葉も生み出しています。
橿原神宮駅前東口付近のみならず、奈良県内には丈六という地名があちこちに残されています。
仏像の宝庫である奈良県を象徴しているのではないでしょうか。
地名に秘められた謎を探っていくと、思わぬ真実に付き当たるものですね。