甘樫坐神社境内にある立石。
毎年4月の第1日曜日に、甘樫坐神社の立石の前で盟神探湯神事が催されます。
盟神探湯とは、古代の裁判方法のことを意味します。
神明裁判の一つに数えられます。
裁判の中で審理の決しにくい時、真偽正邪を裁くため、神に誓って手で熱湯を探らせる裁判方法。
正しい者はただれず、邪(よこしま)な者はただれるとします。
何とも抜き差しならない、厳しい裁判ですよね。
日本史の教科書で学んだことのある盟神探湯(くがたち)ですが、ここ甘樫坐神社が盟神探湯の行われた場所だったとは知りませんでした。

甘樫坐神社の境内。
甘樫丘の豊浦方面に甘樫坐神社はあります。
あまかしにいます。
あまかしにいますじんじゃと読みます。
この、〇〇坐神社という神社名は結構多いですよね。
おんだ祭で有名な飛鳥坐神社、三輪山の登山口にある狭井坐大神荒魂神社等々・・・
甘樫丘は神様の鎮まる神奈備として知られるパワースポットでもあります。
神の前に潔白を誓うという意味では、甘樫丘が盟神探湯の場所に選ばれたのも納得がいきますよね。

盟神探湯の案内板。
日本書紀の記述の中に、415年(允恭天皇4年)に氏姓制度の混乱を正す目的で、甘橿の神の前に諸氏を会して盟神探湯を行ったと書かれています。
4月に執り行われる盟神探湯神事では、立石の前に大きな釜が用意されます。
煮えたぎった湯は沸かされますが、素手を入れるわけではありません(笑)
熊笹が使われているようです。
笹の葉の色が変わらなければ正で、変わってしまえば邪ということになります。
明日香には謎の石造物が多数存在しますが、盟神探湯神事をじっと見守る立石も実に立派です。
大きな石に宿るスピリチュアルなメッセージを感じます・・・。